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第79章 春宵 by つぎこ
誰だ、コイツ…。
えーっと…。
さすがに何も、コトは起こってないよな…。
寝起きの頭で、夕べの記憶を必死に辿る。
夕べは確か、取引先との接待で…。
…。
あれ?
俺、どっかで拾ってきた…?
「…うー…んっ。」
拾われものは、呑気なもので…。
昼過ぎ、ようやく布団の中から這い出してきた。
それからキョロキョロと部屋を見回し、俺を見つけると、ふにゃ…っと笑った。
ああ、この顔…。
なんとなく思い出してきた。
取引先との接待が、急にキャンセルになったんだ。
接待先に向かっていた俺は、途中でUターン。
たまたま公園の近くで、綻び始めた桜がキレイで…。
せっかくの週末の夜、このまま帰るのも何だか勿体なくて、コンビニでビールを買い込み、ひとり夜桜見物に…。
公園の遊歩道、
コイツは、ベンチに転がって寝てて…。
通りすぎようとしたら、くしゃみなんかして…。
放って置けずに、声を掛けてしまって…。
それから一緒にビールを飲んで…。
それから…。
うっかり、だ。