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第79章 春宵 by つぎこ







こんな日々が、この先ずっと続いてくれれば…。

なんてね。




だけど今夜はどこか違ってた。


仕事から帰ると、智はソファーでうたた寝してて…。


「 智、風邪引くよ?」

「 んー…。」

ネクタイを緩めながら、智の顔を覗き込んだ。

その寝顔は、コドモみたいに無防備で…。

煩そうな前髪を指で梳くと、覚めきれないトロンとした瞳で、俺を見上げてきて…。

そして、いつものように、ふにゃ…と、笑って…。

そのままソファーから滑り降りてきた。



「 遅いよ…。」

聞いたこともない、甘い声…。


「…え?」

智は、俺の胸元に鼻を擦り寄せ、クンと匂いを嗅いで…。


「…あれ? 違ったぁ。」

小首を傾げると、ごそごそソファーに這い上がった。

…。

寝惚けているのは確かだけど…。

いったい何が、違ったのか…。


胸の中で、何かが騒めいた。


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