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第83章 表裏一体 by みきちん

それから俺達は急速に距離を縮めた。

ドラマでよく見る
金持ちが性格が悪いなんて嘘だな。

本当にいいヤツで……

櫻井くんに生まれてたら
俺はどんなに幸せだっただろう。


でも、俺の見ていた櫻井くんは
ほんの一部だった。


ある夏の日……


「なぁ、何でいつも
体育のプール参加しないの?」

「塩素系に肌が弱いんだ……」

長く一緒にいたから、
嘘なんてすぐに見破る事ができた。

それにとても辛そうな顔してた。

「ウソつけ」

「えっ?」

「別に理由、あるだろ?」

俺の問いかけに
翔がキュッと唇を噛み締めた。

「……今日、うち来ない?」

「えっ?まぁ、いいけど……」

ちぐはぐな会話に疑問を持ったけど、
それを問いただせる雰囲気じゃなかった。


決意に満ちたような目をしていたから……


授業が終わると、翔の家に向かった。

目の前に広がる大きな家。

「すげー家だな……」

「そんなことないよ」

他人事のような言葉と
寂しそうに家を見つめる瞳。

その理由を知るのに時間はかからなかった。

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