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第87章 green shoots by つぎこ







そもそも、ただでさえ仕事は煩雑なのに、新人のお守りなんてイレギュラー…。

しかもこの新人、ソツがない。

ゆとりでも、さとりでもなくて、
それともこれが今どきなのか、礼儀や社会常識も、それなりにわきまえてて…。




「…失礼します。 」

社用車の中。運転席の彼は、信号待ちで素早く上着を脱ぐと、シャツの袖を捲った。

額には薄っすらと汗…。

柑橘系のフレグランスが、ふわりと鼻を掠める。



「…なにかスポーツ、やってたの? 」

捲った袖から覗く、程よく締まった前腕部。

「 大学までずっとバスケ一筋でした。今でも時々…。」

そう言うと彼は、信号機目掛け、シュートを放つ仕草をしてみせた。

生粋の体育会系…。

カフェのバイトとかやってたんだっけ…。
たまたま常連だった女子がいて、入社当初、騒いでたんだよな。結構な人気だったって。


道理でね。


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