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第87章 green shoots by つぎこ







「…さん。櫻井さん? 」

「…えっ? 」

つい、ぼーっとしてて…。

彼の声に我に返ると、クルマは木陰のある路肩に止まってて、彼が心配そうに俺を覗き込んでいた。


「 どうかしましたか? 」

「…いや。ごめん。ちょっと考えゴトしてた。」

言えないでしょ。新人相手にぼーっとしてた、なんて…。


「…考えゴト? 」

なのに、すかさず繰り返されて、

「…次の訪問先のコト、考えてたんだよ。」

体裁を取り繕うのに、俺は何故か言い訳する羽目に…。


「…なにか問題でも? 」

彼はまた直ぐに反応してくれて…。

「…いや。担当者がなかなかに気難しくてね。」

取り敢えずな言い訳。だけどこれはホントの話で…。


「 へぇ…。」

初見の訪問先に、気難しい担当者。
さすがの彼も気後れしたのか、そこで黙り込んだ。



「…櫻井さん。」

「…ん?」

暫く黙り込んで、また俺を呼んだ。


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