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第87章 green shoots by つぎこ







「 いつか俺が、そこで契約取れたら…。その時は、一緒にお祝いしてくれますか? 」

彼は、いつになく真剣な瞳で言ってきた。

「…。」

世間知らずというか…。
営業の現実を知らないというか…。
俺がどれだけあの会社に足を運んだと思ってんだ。


「…一人で出来たらね。」

「…え? 任せて貰えるんですか? 」

突き放してみたつもりだったのに、喜んじゃって…。



「…運試しと思って、挨拶行ってこいよ。」

「 はいっ。」

例の会社に着くと、余裕なフリで彼を送り出した。


「 櫻井さん、約束ですからね? 」

彼は一度クルマを振り返り、眩しいくらいにキラキラな笑顔を向けてきて…。

俺はヒラヒラと手を振り返して…。


なんだかなぁ。

現実を知ればいいんだ…。
なんて、そんな意地悪な自分が顔を覗かせる。



「 前向きに検討させていただきますって!」

小一時間ほど経って、彼はクルマに戻ってくると、嬉々として俺に報告してきた。

甘いな…。

それがここの常套句なんだって…。


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