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第88章 新学期 by のさまじょ

どうしようかと階段を見つめていたら、上から生徒が一人降りてきた。

「あっ…キミっ…」

その生徒は俺を見ると、不審そうな顔をした。

「あ…僕は、今日転任してきた相葉といいます。物理を担当します。転任式がまだだから知らないよね…」

そう言うと、その生徒の顔は一変した。

「先生なんですね。よろしくお願いします」

そう言ってニッコリと笑った。
笑ったんだけど…
目が、笑ってなかった。
なんとなく、俺はこの生徒が恐ろしく感じた。
まだ高校生なのに、この上辺だけの愛想の良さが怖かった。

「で、なにかご用ですか?」

この生徒は部活でもしてるらしく、ジャージを着用していた。

「ああ…恥ずかしい話なんだけど、迷っちゃって…職員室まで案内してもらえないかな?」

生徒はくすっと笑う。
色が抜けるように白いのに、唇が異様に赤い。
男なのに大きな瞳は、まるで女性のような妖しさを湛えてた。

「いいですよ。ご案内します」

まるで大人のように自由に敬語を使いこなす。
高校生らしくない物腰。
やっぱり、こいつなんか怖い。

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