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第88章 新学期 by のさまじょ

その突き刺さるような視線から逃れるように、机に向き直った。

「読んでおくから、後でまた来い」

そう言ったけど、櫻井が動く気配はない。
背中に汗がにじむ。
なんで…こんなこと思うのか自分でもわからない。
…でも、こいつは危険…
そう頭のなかで警報が鳴ってる。

「相葉先生…」

低い声で櫻井が言ったと同時に、背中にのしかかられて、両腕を掴まれて机に押し付けられた。

「…あんた…俺のこと好きだろ…?」

櫻井が耳元で囁く。
その低い声に皮膚が粟立つ。

「な…に言ってるんだ…離せ…」

声に力が入らない。
一体どうしたってんだ。
櫻井の体温、息遣い…
振り払おうと思えばできるはずなのに。
俺の身体は動かない。

「じゃあなんでいつも俺のことジロジロ見るんだよ…」

ぺろりと俺の耳を舐っていく。

「あっ…見て、ないっ…やめろっ…」

身体が震えてくる。
逃げたいのに逃げられない。
櫻井の存在が俺の手足を縛り付けているようだ。

「…なんで振り払わねえんだよ…?え?先生よ…」

これが…櫻井の本性だ…
やっぱり俺は間違ってなかった。
こいつは腹の中、真っ黒なんだ。

なのに…動けない

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