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第89章 五月雨 by アロエリーナ

オレは、七歳上で従兄弟の、翔ちゃんが好きだ。

優しくて物知りで、色んなことを教えてくれる、
憧れのお兄ちゃん。

子供の頃は、親戚が集まる度に遊んでくれたけど…

たくさんの習い事やら、塾やらで忙しい翔ちゃんとは、だんだん疎遠になっていった。


やがて大学を卒業した彼が、高校教諭になると聞いた。

久々に会ったとき
「雅紀も俺の勤めてる高校、受けなよ。
入ったら勉強、教えてやるからさ」

と、笑いながら言ってくれた。

おそらく冗談半分だろうけど、オレにはめちゃくちゃ嬉しかった。

偏差値トップクラス、名門進学校だったけど…

オレはかつてない位、死ぬほど受験勉強して…
奇跡的に、合格した!


小学校からの親友、俊介も一緒に受験したから、きっと心強かったんだ。

同じ目標に向かって励まし合って、競い合って…

きっかけは翔ちゃんだけど、受かったのは俊介のお陰だと思う。

だけど俊介は、落ちてしまった。


オレは受かったものの案の定、授業についていけず…
人見知りのせいで、クラスに馴染めない。

翔ちゃんは受け持つ学年が違うから、殆ど会えない。

受験で燃え尽きた感もあり、すっかりヤル気を失い…
連休後は、学校を休みがちになってしまった。

これはおそらく、俗に言う…

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