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第95章 ひみつ by きぃな
【大野side】
花火大会の日
翔と合うのは一週間ぶり
でも、仕事で予定より遅れるらしい
花火が上がる前に翔の血をいただこうと思ったのに…
今日は翔の計画で、誰もいない空の特等席、つまり、俺が翔を抱えて飛び、遥か上空から花火を見下ろそうということになっている
翔が足りないけど…
大丈夫
今宵は十三夜
満月に向かう月夜だから、俺の魔力も上がるはず…
そう思って空を見上げた瞬間、そこに広がる大きな花火
「あー、始まった…」
「っ、ごめっ、遅くなっ、うわ…っ」
俺は翔を抱えて一気に空へと飛び上がる
「さ、智くっ、他の人にバレるよっ」
「大丈夫、ちゃんとシールド張ってるから」
上空で留まり、俺たちは地上を見下ろす
「キレイだね…てか、遅くなってゴメンっ」
……なんだか翔の声が遠くに聞こえる
「智くん?さと…っ」
ダメだ…
急激に魔力を解放したのと
やっぱり、翔不足……っ
薄れていく意識
急降下していく二人の身体
翔……っ、ゴメン…
「さと……っ」
その時俺が目にしたのは、黒い翼を広げた翔
精一杯手を伸ばして、俺の腕を掴む
「しょ……っ…」
引き寄せられた腕の中に包まれて、俺は意識を失った