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第99章 voyage by アロエリーナ
「今夜、日本から三人が遊びに来るって、覚えてるよね?あなたの還暦祝いだって」
話し掛けながら、ガーデンテーブルにコーヒーを置く。
「…メールだけでもいいのに。みんな忙しいだろ?
せっかく夫婦水入らずなのに、邪魔すんなよな」
ブラックのそれを飲んで、彼は苦い顔をしてみせた。
照れ隠しなのは分かってる。
「…嬉しいクセに。5人集まるのが一番だもんね」
からかいつつ、そっとシロップを添えておいた。
嵐は30周年を迎えた際、グループとして永久存続宣言をした後、個々の活動がメインになった。
何かの記念日や祭典には、顔を揃えたりするが。
俺は現在Webを主に、政治経済を中心としたコラムニストをやってる。
ネット中継などでメディアにも出てるし、これなら海外でも出来る。
年下の三人は相変わらずマルチに活動してるけど、更に…
ニノはすっかり大御所俳優で、番組MCも多いし
雅紀は全国を飛び回って、慈善活動してるし
潤は事務所の最高幹部的な存在になってる。
皆いつまでも精力的で、たいしたもんだよ。
そして智くんは、アーティストとして自由気ままに創作活動している。
「ちょ、智くん。まだムリして動かないでよ?」
おもむろに立ち上がった彼に慌てる。
「年寄り扱いしないでよ。ただの捻挫だもん」
彼は生涯現役をモットーに、今も筋トレを欠かさない。
年甲斐もなくやりすぎ、痛めることもあるけど…。