Welcome to our party
第99章 voyage by アロエリーナ
「ニノが、お祝いに花火打ち上げようか?って」
PCに届いたメールを見ながら、冗談ぽく言う俺に
彼はますます唇を尖らせて、不機嫌なフリをした。
「いいって。派手な花火はコンサートで散々見てきたから、もう充分だよ。それに…」
ふと彼は、遠くを見つめて呟いた。
「“あの日”の花火は、今も忘れてないから。
…忘れないように、ずっと瞼に浮かべてる」
彼の儚げな眼差しに、俺もあの日を思い出した。
…
君が泣いた“あの日”
弱音を吐いて流した涙は、あれが最後だったよね。
地方での大きなコンサートツアー初日だった。
リハ前の控室で、未だかつてないほど自信喪失し、後悔と絶望に打ちひしがれていた君。
「もうファンの前に出られない。どんな顔してたらいいの…いまコンサートなんて無理だよ…」
メンバーも事情を知っていたから、誰も掛ける言葉を見つけられず、立ち尽くした。
ここは俺、影のリーダーがしっかりしないと…
「大丈夫!智くんを信じて、来てくれたファンを信じよう。今は、やり切ることだけを考えて…」
俺の話を遮るように、君は叫んだ。
「翔くんのせいだよ!俺を独りにするから!」
予想だにしない言葉に、雷で打たれた感覚だった。