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第19章 たまゆら by のさまじょ&millie

神様…


俺は神様にお願いをした。


どうか、この日だけは。


地上に戻して下さい…


雅紀に…雅紀の近くに…


大きな温かい手は、俺の頬を包んで微笑んだ。


”行っておいで”


俺の身体は吸い込まれるように地上に戻った。


そして、毎年ここに立ってる。


今年も、雅紀はきた。


「潤…そこに、いるんだね?」


あの日みたいなオレンジ色の空が広がっていた。


墓標の前に跪くと、雅紀は俺を見上げた。


「潤…おいで?」


そっと雅紀が手を広げた。


迷わずその懐に飛び込む。


温かいよ…雅紀…


ふんわりと腕が閉じられると、俺は雅紀に腕を回す。


離さないで…離れないで…


一年に一回のこの逢瀬のために、俺はどこにも行けないでいる。


ただ、この日がくるのを雲の上で待ってる。


「潤…なんで…連れて行ってくれないの…?」


雅紀…


「待ってるのに…俺…」


だめだよ…雅紀…


「愛してる…潤」


雅紀はそっと俺の頬にキスをする。


触れたい。


もっと雅紀の近くに…


でも、


だめだ。



連れてなんていけない。

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