あなたに精力うばわれちゃいます!
第2章 捲土重来
こんなに濡れていれば、今すぐにでもこれを入れても良いだろう。
祈織は確信して、右手に《おとなのおもちゃ》を持ち、狙いを定める…。
「これを入れたら…俺の勝ちだ」
「……っん」
少し入口付近でつついてから様子を伺う。
ヌルヌルで《おとなのおもちゃ》が滑ってしまう…。
「こんなに濡れるようなことしたかな……」
「……く、ん…」
「ん?」
縁が口を動かして何かを言った。
一瞬びっくりして、右手をサッと後ろに隠したが、目を瞑っているため安全だと分かった。
安堵したその直後、縁は思いがけないことを口にする。
「あさぎり…くん……」
聞いた瞬間、祈織の目が大きく見開く。
「なんで……そいつの名前を………」
ショックで固まる祈織。
全く動けないでいたその時、ガラッと保健室のドアが開く。
「…!」
誰かが来た。
祈織の頭がその状況に追いつき、焦り始める。
右手には《おとなのおもちゃ》を持ったまま。
これをどうすればいいか……。
「……どうにでもなってしまえ」
祈織は今までにないくらい妖しく笑った。