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あなたに精力うばわれちゃいます!

第2章 捲土重来


「…ぁ」

一目見ただけでもわかる、冷徹な視線。
相変わらず口がへの字で一切笑っていない。
_______そこには、朝霧くんが無言で立ち尽くしていた。

「あさ、ぎりく……」

私が話しかけようとすると、一瞬睨まれたように感じた。
そうだ、話しかけちゃダメなんだ。
私は俯いて、朝霧くんと視線が合わないようにする。
だけど、このままでいても気まずいだけだと思ったので、私はその場でゆっくりと立ち上がり、朝霧くんの前からいなくなろうとした。


すると_______


「おい」


平均の男子より、少し低めの声が廊下に響き渡った。
同時に、授業開始のチャイムも鳴る。
授業に出席できなかった。

……そんなことよりも、私……朝霧くんに話しかけられた………?
素朴な言葉二文字だけだけど、はっきりと「話しかけられた」と意識すると、とても嬉しくなってきた。
私は朝霧くんに背を向けながら、1人でクスッと笑う。
それくらい、喜びの感情が膨れ上がったのだ。
だが、次の一言でそんな感情も脆く朽ち果てる。

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