あなたに精力うばわれちゃいます!
第1章 風馬牛
思わず私はさきほど手に持った《あるもの》を先輩の首元にかざした。
すると先輩は時が止まったかのようにピタリと止まる。
何が起きたのか、と地面から顔を上げてみる。
その時、同時に先輩はその場に力なく倒れた。
「えっ……と…?使えた?」
手に持っていた《スタンガン》を見つめ、その場に倒れている先輩を見て、と交互に見る。
間違いない。これは私がやったのだ。
そう思うと、嬉しさがこみ上げる。
「多輝姉さんっ、やったよ!一人で仕留めれたよ!」
私はスタンガンをホルスターに戻し、一旦落ち着いてから体育館裏から去ろうとする。
一瞬、倒れている先輩に目が行ったが、先程の行いが頭の中でフラッシュバックしたため、情けをかけずにその場を離れた。