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あなたに精力うばわれちゃいます!

第3章 満身創痍


遠目で見ていても、かなり仲の良さげな雰囲気が伝わってくる。

「お母さんも少しは妬かないの?」

「やだぁ、夜宵ちゃんったら!子供相手に妬くわけないでしょー」

「そんな目が笑ってない状態で言われても説得力ないから」

呆れ気味に姉が笑うと、母も口元を抑え笑い始めた。
だけどその一瞬、俺は母の表情が変わったところを見逃さなかった。

「……のよ、とっくに」

「なんか言った?」

「ううん、何でもない。…あら、お父さん業者さんとのお話し終わったみたいね。行きましょう?」

「えっ、もう終わってたの!?『終わったよ』くらいの一言欲しいんだけど」

…家庭内の様子を見る限り、二つの派生に分かれてるようにも見える。
母と夜宵姉と俺。そして父と、もう1人の姉…小夜(さよ)姉。
実を言うと、母と父は再婚した仲であり、一番上の姉だけは今の父とは違う血が流れている。
小夜姉と俺は今の父と母から生まれた子だから、そんなに抵抗することはないが、…夜宵姉と父の間には見えな壁が設けられていたような気もしていた。

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