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あなたに精力うばわれちゃいます!

第3章 満身創痍

異父姉弟という関係でも、長年の付き合いでお互いのことをよく知っている。
それに、こんなにも涙声で助けを求められたら、見逃すわけにも行かない。
俺はプライドを押しつぶして、ドアを開けた。

「やよいね……」

「あ……」

ひとつ、失態をしてしまった。
急に開けるものではなかったかもしれない。

「髪、ボサボサだけど。それに服も少し汚れてる。やっぱ喧嘩?」

「相変わらず聖は痛い所突いてくよね」

「え?スマン」

地雷を踏んでしまったお詫びに謝ったはずなのに、何故か夜宵姉は吹き出して笑い始めた。普段はこんなに笑わないはずなのに、珍しい。
ドアを開けるまではあんなにか弱く助けを求めていたのに、彼女の中にどういった感情の変化が見受けられるのだろうか。

だけどそれは、すぐに「空元気」から出来上がっているものだと気づく。
その理由は……不意に落とした視線の先の床に、血が垂れているからだ。
それも、鮮やかな赤。驚くほど綺麗な赤。

「姉ちゃん、それ………」

「…うん。」

「それって…」

よく目を凝らしてみると、夜宵姉が履いている白のハイソックス。
片膝だけ立てて座っていたがために、よくわかった。
血の痕。色的に見てみると床についているものと完全に一致していた。

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