あなたに精力うばわれちゃいます!
第3章 満身創痍
「うん。他人を思いやる気持ちも、責任感が強いところも、全く興味が無いものには眼中にない、なんて所も……お母さんにそっくり」
「そこまでそっくりなのか」
姉が静かに笑い、こくりと首を縦に振る。
その直後、夜宵姉が俺の頬を触れ始める。
不味い、と思ったが…思った以上に夜宵姉の手が優しく暖かかったため、抵抗できなかった。
「でも、一つ違うのは…あの人から受け継がれてしまった力…『精力を吸収する力』」
「そこは受け継いでも仕方なかったと思う」
「うん…。そうだよね。……あたし、初めてアンタのお父さんと対面した時、吸われちゃうんじゃないかって心配でならなかった。すごく怖かった。帯びる雰囲気もなんだか苦手だったし…昔からあたしとあの人は相性が合わなかったみたい」
「なんで俺は平気なんだ?」
「うーん…やっぱりお母さんの血も受け継いでるからかな」
「母っ子かよ」
なんだか、押し倒されてる形でこんなくすぐったい話をしてるなんておかしいな、と思った。
だけど、こんな風に素で笑い合うのは本当に久々だ。