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あなたに精力うばわれちゃいます!

第4章 一意奮闘

自分の右手で、朝霧くんの額に触れる。
案の定結構な暑さがある。息遣いも荒いし、これは熱があるのだと確信した。

「(さっきの…どうやって保健室から抜け出したんだろう。全くわからない)」

もしかして、この状態でなんとかして、私を運んでここまで来たとか?
でも朝霧くんの熱はいつからあったの?堺くんと一緒にいた時は熱なんてなかった様子だった…。

…というか、まずは今いる目の前の朝霧くんをベッドまで運ぼう。
机でずっと寝ているなんて絶対に苦しい。
私は朝霧くんのぐったりした体を持ち運ぶために、腕を持とうとした…その時、

「女子が…男子を運ぶか…? 普通……」

顔をおもむろに上げて、汗を吹きながら私の手を振り切って立ち上がった。

「あっ!ダメだよ急に動いちゃ!」

「ここまでお前を運んだのは俺だぞ。少しくらい動いてもいいだろ…」

「あー!もう、そうじゃなくて!」

やっぱり、気絶した私を運んでくれたのは朝霧くんだったんだ。
そして、最優先でベッドにも寝かせてくれて…。
でも今一番苦しいのは絶対に朝霧くんだ。
嫌がられても私は朝霧くんのお手伝いをする!

私は朝霧くんの後ろの首に腕を回した。

「…何してるんだ」

「何も出来ないなんて嫌だよ。私」

「だからってな…お前状況考えてみろ。ここは俺の部屋で、しかも男女二人きりだからな」

「そんなの関係ないの!意地でも朝霧くんをベッドに運ぶんだから」

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