あなたに精力うばわれちゃいます!
第4章 一意奮闘
「……」
朝霧くんが黙り込んだ途端、部屋の中が静寂に包まれた。
…観念したのかな? なら、おとなしく看病させてくれるよね…。
だけど、私の考えは浅はかだった。
私が朝霧くんをベッドに運ぶと言ったにも関わらず、朝霧くん自らベッドに…いや、私をベッドに押し倒してきた。
頬を赤く染めて、口元を衣服の裾で隠す。
軽く萌え袖状態である。
「俺が今、狼状態だと知らずに……」
「…へ?」
「言ったろ…精力を吸わないと暴れだすって…」
「えっと……まさか?」
「そのまさか。これでも我慢したんだから責任取れ」
「我慢!?責任ー!?ちょっと待って!私の話も聞いて欲しい!」
朝霧くんが私の首すじを甘噛みする寸前、ぴたっと一時停止をした。
首を伝う嫌な汗が……。
不機嫌そうに朝霧くんが私の顔を凝視した。
その眼差しはまたあの時…堺くんを睨みつけていたような眼光、赤く光っていた。
思わずたじろいでしまう。
「……なんだ」
「まずは私が気絶した後の事…教えて欲しい……んです…けど………」
早くしろと言わんばかりの表情。
流石にそれは怖くて身が引ける…。
「……そうだな、簡潔に言うと精力を奪われた」
奪われた…? 堺くんに?どうやって?
そうやって聞こうとしたのだが…
朝霧くんは口角を微妙に上げて、再び私の首元に近づいた。
必死に抵抗しようとするが、手首を捕まえられてびくともしない。
______ペロッ
まるで飼い主にじゃれつく犬のように、首筋を無心に舐め始める朝霧くん。
「ひぁっ! …朝霧くっ、まだ話は終わってな…ひぐぅっ!」
「話が終われば精力吸わせてくれるのか?」