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あなたに精力うばわれちゃいます!

第5章 意気消沈

本当の本当に自覚はないようだ。
確かに、ここまで優しいのは自覚がないものだからだろうとも言える。

今まで言われた事も、不器用ではあるが彼なりの優しさをこれでもかと言うくらい感じてきた。
長い付き合いだと自信たっぷりに言った朝霧くんとは違い、短い関わりの中で分かったことだけれど…。


「でもさ朝霧」

「…なんだよ、そろそろ俺寝たいんだが」

「20になる前に女の子の精力貰っておかねーと、場合によっては衰弱死ってのも有り得る話になってくるぞ」


……。
…………え?
す、すい、じゃく……死?
今の、聞き間違いじゃ、無いよね?


「…ん、まあそんな話にもなってくるな」

「おいおい他人事みたいに言うなよ。……俺はお前が死ぬなんて絶対許さないからな?」

「死ぬわけねーだろバカ」


聞き耳を立てて聞いていたからわかる。
最後の言葉を言ったと同時に、一瞬だけ声が震えた気がする。
生まれた時から課されていた使命と言えど、あまりにも重すぎるその荷物を……朝霧くんは一人で背負おうとしている。


自分よりも他人を大事にしたいという気持ちからの、朝霧にとって最大の妥協をしようとしている。

その代価は『死』。背負うにはあまりにも……大きすぎる。

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