ペットではなく家族です。
第10章 葉子の想い
寛一「じゃあまた明日来るから」
葉子「ありがとう」
面会時間ギリギリまで葉子と過ごすのが
日課になっていた寛一
生活は苦しいけど葉子と一緒にいる時が
寛一にとって至福の時だった
もちろん蛇の方ではなく
人間の方の葉子
寛一「…」
正行「久遠さん」
寛一「先生、こんばんは」
正行「ちょっとよろしいですか」
寛一「あ…はいっ」
正行「…」
帰り際
正行に引き止められ
再び応接室へ連れて行かれた寛一
そこで葉子の現在の状況や今後の治療法
などを伝えられた
寛一「新薬ですか?」
正行「はいっ、新薬なら今の薬と効果も
同じでお金も格安で済むんです」
寛一「格安…」
正行「入院が長引けば金銭面にも苦しく
なります、患者さんや家族の方、全員に
聞いて回ってるんです」
寛一「…でも…本当に同じなんですか…
薬の効果は…」
正行「もちろん同じです」
寛一「…」
効果が同じとはいえ
薬を変えるのに抵抗はあった
だけど苦しい家計状態、薬を変えるのか
変えないのか
選択肢はあるようでなかった
正行「どうします?」
寛一「…じゃあ…お願いします…」
正行「わかりました」
寛一「…」