秘密のおとぎ夜話
第15章 【赤ずきん】壁の向こう
1週間後のある朝。
赤ずきんの部屋を猟師の従兄が訪ねていた。
心配そうに赤ずきんが横たわるベッドの脇へひざまづく。
「赤ずきん…どうした?
先週は1回も俺に会いに来ないし…
聞いたら部屋にこもってるそうじゃないか。」
赤ずきんはベッドの上で起き上がり、
従兄とは目を合わせずにうつむいたまま答える。
「うん…病気じゃないよ……大丈夫なんだけど…」
「もしかして…オオカミの子を産むつもりなのか?」
静かな従兄の問いに、はっと顔を上げる赤ずきん。
あの日、2人のオオカミの精液を体内に受け止めたまま
1週間が経っている。
ふるふると首を横に振る。
(このままじゃ、いつものオオカミさんの子かどうかもわからないし…)
「だったら俺が治療しないと…だろ?
病気じゃないならほら、いつもみたいに小屋に行って、」
従兄は若干ホッとした表情で、そう言いながら赤ずきんの腕を取った。
「や!さわらないで!」
思わずそれを振りはらってしまう。
「!」
行き場をなくした従兄の手は、力なくベッドの上に置かれ、その次にぐ、と握られた。
「俺だって好きでやってるんじゃない…
お前の遊びに付き合って毎度毎度あいつの後でお前を"治療”して…
…それが俺の役目だから!
それを触らないでってなんなんだよ?」
従兄の語気が荒くなる。投げつけられた言葉に赤ずきんはビクリと身体を震わせて…
「そんなの、分かってるよ…っ」
大粒の涙をこぼした。
「この1週間考えたもの!
あたしを気持ちよくしてくれるのだって、あの人に優しくするのだって、
お兄ちゃんはお仕事なんだって!
でも、もやもやが消えないの!嫌なの!
他の人、触っちゃ…」
何かに言葉を阻まれる。
温かく柔らかい…
それは従兄の唇だった。
赤ずきんの部屋を猟師の従兄が訪ねていた。
心配そうに赤ずきんが横たわるベッドの脇へひざまづく。
「赤ずきん…どうした?
先週は1回も俺に会いに来ないし…
聞いたら部屋にこもってるそうじゃないか。」
赤ずきんはベッドの上で起き上がり、
従兄とは目を合わせずにうつむいたまま答える。
「うん…病気じゃないよ……大丈夫なんだけど…」
「もしかして…オオカミの子を産むつもりなのか?」
静かな従兄の問いに、はっと顔を上げる赤ずきん。
あの日、2人のオオカミの精液を体内に受け止めたまま
1週間が経っている。
ふるふると首を横に振る。
(このままじゃ、いつものオオカミさんの子かどうかもわからないし…)
「だったら俺が治療しないと…だろ?
病気じゃないならほら、いつもみたいに小屋に行って、」
従兄は若干ホッとした表情で、そう言いながら赤ずきんの腕を取った。
「や!さわらないで!」
思わずそれを振りはらってしまう。
「!」
行き場をなくした従兄の手は、力なくベッドの上に置かれ、その次にぐ、と握られた。
「俺だって好きでやってるんじゃない…
お前の遊びに付き合って毎度毎度あいつの後でお前を"治療”して…
…それが俺の役目だから!
それを触らないでってなんなんだよ?」
従兄の語気が荒くなる。投げつけられた言葉に赤ずきんはビクリと身体を震わせて…
「そんなの、分かってるよ…っ」
大粒の涙をこぼした。
「この1週間考えたもの!
あたしを気持ちよくしてくれるのだって、あの人に優しくするのだって、
お兄ちゃんはお仕事なんだって!
でも、もやもやが消えないの!嫌なの!
他の人、触っちゃ…」
何かに言葉を阻まれる。
温かく柔らかい…
それは従兄の唇だった。