心の色
第5章 <対決>
Aは慌てて、胸ポケットにいれているサングラスをかける。
一瞬にして、蠢く闇はその気配を消し、目の前には1人の少女が立っていた。
ジーンズにコートを着た、黒髪の幼い顔つきのその少女は、ドアがあけ放された部屋の中を覗き込むように立っていた。
ほっと安心するのもつかの間、少女の手に握られている包丁に気がついた。その刃先はうっすらと赤く染まっているように見えた。
「なんだよ、オマエ、うちでなにしてんだよ!」部屋の中から、子供のどなり声が聞えた。声変わりをしたばかりのその声は苛立ちの中に少しばかりの怯えで震えているようだった。
「そんなもの、捨てなさい」Aはそう少女に向かって語りかけた。ともすれば震えそうになる声を腹にちからをこめて押さえつける。
少女はちらりとAに視線をよこし品定めをするかのように眺めたあとぷいと室内の人物に注意をもどした。Aは、少女の目に狂気を感じ取った。足がまるで他人のものになったかのようにすくんで動けない。
その時、Aの脳裏にあの日の場面がよみがえった。
一瞬にして、蠢く闇はその気配を消し、目の前には1人の少女が立っていた。
ジーンズにコートを着た、黒髪の幼い顔つきのその少女は、ドアがあけ放された部屋の中を覗き込むように立っていた。
ほっと安心するのもつかの間、少女の手に握られている包丁に気がついた。その刃先はうっすらと赤く染まっているように見えた。
「なんだよ、オマエ、うちでなにしてんだよ!」部屋の中から、子供のどなり声が聞えた。声変わりをしたばかりのその声は苛立ちの中に少しばかりの怯えで震えているようだった。
「そんなもの、捨てなさい」Aはそう少女に向かって語りかけた。ともすれば震えそうになる声を腹にちからをこめて押さえつける。
少女はちらりとAに視線をよこし品定めをするかのように眺めたあとぷいと室内の人物に注意をもどした。Aは、少女の目に狂気を感じ取った。足がまるで他人のものになったかのようにすくんで動けない。
その時、Aの脳裏にあの日の場面がよみがえった。