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第3章 里親
「またお前か。…そんな猫さっき居たっけな?」
エリスを抱いたまま役所に着いた。今度こそちゃんと終わらせよう。
それで、こいつにご飯をあげて今日はもう寝よう。そう決めている。
証明書を突きつけて 予め用意しておいた台詞を一息に言った。
「僕はグレンさんの従兄弟でこっちに越してくることになったんです、それでコレを出して来いって言われました」
ぽかんと口を開けていた女の人だったが、すぐに笑顔になって豪快に笑った。
「っははは‼︎そういう事なら早く言ってくれよ! 聞いたかお前ら!残念だが賭け金は俺が貰うぞ‼︎」
開けっ放しの扉の奥で酒を飲んでいた何人かの男女が楽しそうにしつつも不満の声を上げる。
僕的にはちょっと一人称の方が気になったが。
「じゃあ…もう少し待っててな。今書類を…ん?あれ?」
壁際に備え付けられた戸棚をガサガサ漁って首を傾げる。…どうもその書類とかいうのが無くなったらしい。
「おいポルクス!お前また隠してねぇだろうなぁ⁉︎」
「んぁ?やっぱアーテはお見通しかぁ。発泡酒の樽の右側の本棚ン中に入れたぜ」
蒸留酒のようなものをちびちび飲んでいた若い青年が、赤くなった顔をこっちに向けた。
鳶色の髪に気の強そうな緑の瞳が印象的だ。 そんな彼を睨んで女の人…アーテさんは
「ふざけんな後でぶっ潰す」
とか物騒な事を言っていた。 こんな事を平気で言っちゃうあたり、ミツキに似てるかもしれない。
本棚から乱雑に畳まれた紙を出して何か書き込むと、アーテさんは苦笑いしてそれを僕に渡した。
「それを持ってりゃ此の辺ならかなりの好待遇になるだろうよ。にしてもグレンの奴、とんでもねぇモン持ってたんだな…」
「これってそんなに凄い物なんですか?早速エリスが匂いを嗅いでますけど」
やめろやめろ、とエリスの狭い額を指先で弾いたアーテさんは少し困ったように呟いた。
「んー…まぁ凄いっつーか珍しいんだよ。ホントあいつは謎だな、ファリのお陰か?」
……ファリ。グレンさんの知り合いだろうか。そこでポルクスさんから一言挟まった。
「いや、ムンティルファリ?は何年か前に亡くなってるぜ」
エリスを抱いたまま役所に着いた。今度こそちゃんと終わらせよう。
それで、こいつにご飯をあげて今日はもう寝よう。そう決めている。
証明書を突きつけて 予め用意しておいた台詞を一息に言った。
「僕はグレンさんの従兄弟でこっちに越してくることになったんです、それでコレを出して来いって言われました」
ぽかんと口を開けていた女の人だったが、すぐに笑顔になって豪快に笑った。
「っははは‼︎そういう事なら早く言ってくれよ! 聞いたかお前ら!残念だが賭け金は俺が貰うぞ‼︎」
開けっ放しの扉の奥で酒を飲んでいた何人かの男女が楽しそうにしつつも不満の声を上げる。
僕的にはちょっと一人称の方が気になったが。
「じゃあ…もう少し待っててな。今書類を…ん?あれ?」
壁際に備え付けられた戸棚をガサガサ漁って首を傾げる。…どうもその書類とかいうのが無くなったらしい。
「おいポルクス!お前また隠してねぇだろうなぁ⁉︎」
「んぁ?やっぱアーテはお見通しかぁ。発泡酒の樽の右側の本棚ン中に入れたぜ」
蒸留酒のようなものをちびちび飲んでいた若い青年が、赤くなった顔をこっちに向けた。
鳶色の髪に気の強そうな緑の瞳が印象的だ。 そんな彼を睨んで女の人…アーテさんは
「ふざけんな後でぶっ潰す」
とか物騒な事を言っていた。 こんな事を平気で言っちゃうあたり、ミツキに似てるかもしれない。
本棚から乱雑に畳まれた紙を出して何か書き込むと、アーテさんは苦笑いしてそれを僕に渡した。
「それを持ってりゃ此の辺ならかなりの好待遇になるだろうよ。にしてもグレンの奴、とんでもねぇモン持ってたんだな…」
「これってそんなに凄い物なんですか?早速エリスが匂いを嗅いでますけど」
やめろやめろ、とエリスの狭い額を指先で弾いたアーテさんは少し困ったように呟いた。
「んー…まぁ凄いっつーか珍しいんだよ。ホントあいつは謎だな、ファリのお陰か?」
……ファリ。グレンさんの知り合いだろうか。そこでポルクスさんから一言挟まった。
「いや、ムンティルファリ?は何年か前に亡くなってるぜ」