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素晴らしき世界

第11章 ショートストーリー

「「カンパーイ!」」

今日は久しぶりにニノと家飲みだ。

ニ「うんめー」

「おっさんかよ」

ニ「うるさいですよ。
それより、おつまみ何か作ってください」

「それが人にものを頼む態度かよ」

ニ「相葉さんにかしない態度です」

「生意気なヤツめ!」

髪をクチャクチャしてやった。

「やめろやー!」

頭をブンブン振り回していたら、

ニ「きもぢわるい……」

ニノが口を押さえた。

「えっ!大丈夫?」

顔を覗き込んだら、ニヤリと笑い

ニ「嘘でーす」

舌をペロッと出して笑った。

「もう、本気で心配したんだから!」

ニ「ごめん、ごめん」

「もう、おつまみ作ってくるから、
大人しく待ってて!」

ニ「はーい」

おつまみを作って戻ってきたら、
炬燵に丸まって寝ていた。

「マジかよ……」

作ったおつまみをテーブルに置き、
ニノの隣に起こさないように入った。

可愛い寝顔のニノ。

長い間、一緒に過ごしているからこそ
俺に気を許して無防備になる。

俺にとっては拷問だ……

ずっとニノの事が好きだから。

でも、想いは内に秘めると決めた。

伝えるなんて出来ない……


でも、今だけはいいよね?


ニノの寝顔にゆっくりと顔を近づけ、
唇に一瞬だけ触れた。

ニ「……1万円」

「へっ?」

目を開けて、ニヤリと俺を見た。

ニ「高いよ、俺の唇は……」

「金、取るのかよ!」

ニ「ちなみに素肌に触れるのは5万円」

「高っ!」

ニ「場所によって、相場は変わるからね」

冗談なのか本気なのかわからない。

さすが演技はピカ一だ。

俺は演技なんて出来ない。

当たって砕けろだ。

俺はビールを口に流し込み、
ニノの目を見つめた。

「俺とのセックスは?」

すると、黒い瞳が揺らぎだした。

ニ「…………レス」

「えっ?」

ニ「プライスレス!」

ニノが耳まで真っ赤にしている。

「……それって、どういう意味?」

ニ「この…………あいばかぁー!」

頭をおもいっきり叩かれた。

「だって、バカだからわかんないもん!」

するとニノはスマホを俺に投げた。


プライスレス……


『お金では買えないほど極めて価値があるもの』


俺はニノを抱きしめた。


ニ「返品できないからね」

「バーカ、一生大事にしてやるよ……」


end

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