異形の男
第1章 1
同時に警察無線から、副総監の声が流れた。「人質優先だ。だれも発砲するなよ」
逃走するバイク達はトンネルに飛びこんでいった。その後を、パトカーの群れも追いかける。
天井に等間隔に取り付けられた青白い蛍光灯がトンネル内を照らしている。
その時、天井の照明がぶうんという音をたてながら、点滅した。
バックミラーを見た新人警官がさけんだ。「ライトがへんだぜ」背後の蛍光灯が次々に消えて暗闇に消えていくのだ。
蛍光灯だけではない、背後に連なる車のヘッドライトも次々と消えていった。
まるで暗闇が背後から迫るような感覚に、彼は背筋の毛が逆立つような感覚に襲われアクセルを吹かした。
闇はすぐに新人警官の運転するパトカーも飲み込んだ。
同時にヘッドライトが消え、サイレンもその音を消し、唸りをあげていたエンジンも死んだように切れた。
暗闇のなか、呆然とする二人の警官。そのパトカーの脇を、低い低音を響かせ、ひとつの影が高速で走り抜けた。
その背後には漆黒の風がはためいていたように見えた。
相棒があんぐりと口をあけた。「おい、マジかよ」
「なんだ今のは?」新人警官には何が起こっているのかまったくわからなかった。
「戻って来たんだ」驚きから一転、興奮をたたえた表情で相棒がさけんだ。「今夜は一大ショーがみれるぞぼうや」
一瞬だけ見えたその異形のバイクのライダーは、同じく真っ黒の服装で、さらに極端な前傾姿勢でほとんど姿が確認できなかった。
真っ黒に塗られたそのバイクは、トラックのような巨大なタイヤを傾けながら逃げるバイクの群れにぐんぐんと追いついていく。
逃走するバイク達はトンネルに飛びこんでいった。その後を、パトカーの群れも追いかける。
天井に等間隔に取り付けられた青白い蛍光灯がトンネル内を照らしている。
その時、天井の照明がぶうんという音をたてながら、点滅した。
バックミラーを見た新人警官がさけんだ。「ライトがへんだぜ」背後の蛍光灯が次々に消えて暗闇に消えていくのだ。
蛍光灯だけではない、背後に連なる車のヘッドライトも次々と消えていった。
まるで暗闇が背後から迫るような感覚に、彼は背筋の毛が逆立つような感覚に襲われアクセルを吹かした。
闇はすぐに新人警官の運転するパトカーも飲み込んだ。
同時にヘッドライトが消え、サイレンもその音を消し、唸りをあげていたエンジンも死んだように切れた。
暗闇のなか、呆然とする二人の警官。そのパトカーの脇を、低い低音を響かせ、ひとつの影が高速で走り抜けた。
その背後には漆黒の風がはためいていたように見えた。
相棒があんぐりと口をあけた。「おい、マジかよ」
「なんだ今のは?」新人警官には何が起こっているのかまったくわからなかった。
「戻って来たんだ」驚きから一転、興奮をたたえた表情で相棒がさけんだ。「今夜は一大ショーがみれるぞぼうや」
一瞬だけ見えたその異形のバイクのライダーは、同じく真っ黒の服装で、さらに極端な前傾姿勢でほとんど姿が確認できなかった。
真っ黒に塗られたそのバイクは、トラックのような巨大なタイヤを傾けながら逃げるバイクの群れにぐんぐんと追いついていく。