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LIP

第1章 閉じた心

息を切らしながら
10分程、自転車を漕いでおばあちゃんの家へ着いた。

みゆ「こんちはー!
   あきちゃん、ゆうくん居る~?」

大声で叫んだ声は意外と響いて
おばあちゃんの家に響いた。

返事がない。

みゆ「あれ・・・
   でも鍵空いてたし・・・
   おーい!」

シーンと静まり返る中
2階の階段の方からミシッと音が聞こえた。
ドキッと心臓が動いた瞬間

優「あれ?
  みゆ、今頃来たの?
  おっそ(笑)」

と、優くんが顔を覗かせた。

久しぶりに見る優くんは
背もまた伸びて
男らしくなっていた。

みゆ「あれ・・・
   おばあちゃんと、
   秋ちゃんは?」

優「買い物いったよ。
  ついさっき。
  俺は宿題中だから
  置いて行かれた(笑)」

ちょっと残念だった。
あんなに時間かけてお化粧してみたのに、早く秋ちゃん帰ってこないかな、なんて考えていると、

優「ん・・・?
  みゆなんか違う?
  もしかして化粧してんの!?
  似合わねー!!(笑)」

こういう反応が優くんから来るのも予想は出来た。
けど、別に男に見てほしくてしたんじゃない。
同じ女の子に見て欲しかった。

みゆ「うるさいなぁ・・・
   別に優くんのために
   化粧したんじゃないし・・・」

ブスッとした私を見て
優くんは笑いながらため息を着いた。

優「ばあちゃんの買い物って
  長いじゃん?
  帰ってくるまで
  ゲームでもしてようよ。」

みゆ「する!!
   何するの!負けないよ?」

ゲームが大好きな私はその一言で機嫌が治ってしまった。
2階へ駆け上がり
2人でゲームで勝負して盛り上がった。

みゆ「くそっー!
   また負けたぁ~~
   もう疲れた、休憩!」

後ろに倒れこみ、
30分程で音を上げた。
いつもはもっと長くできるのに。
秋ちゃんと優くんが来る日ってわかってたから、楽しみであまり寝ていなかった。

優「弱いなぁ(笑)
  まぁ俺も、みゆ休憩してる間
  さっさと今日の宿題終わらすわー」

そう言い優くんは机に向かった。

夏の夕方の網戸から入る涼しい風と、
昼間程うるさくないセミの鳴き声。
そしておばあちゃんの家の匂い。
カリカリッと鉛筆が走る音。

ぼ~として、気づかないうちに
眠ってしまった。




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