
LIP
第2章 出会い
カラオケは楽しい。
その日の帰りは8時を過ぎてしまった。
「やっば。
もう7時じゃん。
家遠いから帰んないと
親に怒られるわ(笑)」
みんなそう言いながらも最後は
プリクラを撮って
帰っていった。
家のドアを開けると
肌寒い風が頬と太ももを撫でる。
鎮まり帰る家に
待っている人も
怒ってくれる親もいない。
みゆ「カラオケでご飯
食べてきて正解だったな。」
そのまま倒れこむように
布団で寝てしまった。
次の日から私はバイトを探し始め、
何個も面接に行き
お弁当屋さんでのバイトが決まった。
約束していた携帯も買ってもらえた。
クラスの女子の8割の子と
アドレス交換をし
バイトのない日は
さやかを始めとする友達と遊ぶ。
たぶん、なんてこと無い高校生活。
バイトも楽しい。
女友達と遊ぶのも楽しい。
1人で家に引きこもりゲームをするのもまた楽しい。
ただ女友達の輪の中で唯一入れない話題。
【男】
「彼氏ほしい~!」
私は今充実している。
だから彼氏なんていらない。
男なんてロクなものじゃない。
友達には
「欲しいねー!」
なんて合わせるけど実際
まったく興味がない。
けど合わせないとノリが悪いって思われちゃう。
クラスの女子の半分は
出合い系で遊んで
盛り上がっている。
ちょうど出合い系が流行っていた。
話題が「男」ばかり。
でも悪くないと思った。
出合い系で出会った男に
ご飯やお酒、全部おごってもらえる。
中学の時に味わった
男への嫌悪感、
イジメられた時に思った復讐心。
男なんてみんな同じだ。
だからお金を出させて
私がいい思いをすればいい。
悪いなんて思わない。
その気にさせて、
捨ててやろう。
どうせこの男たちは
明日には違う女の子にお金を出すだろう。
でも体には触らせない。
触れられると思い出す
優くんとの事。
もう男では泣きたくない。
