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君が書く手紙

第2章 ドナーを探して




祐輔が店内に入るとすぐに、一人の若い店員さんが微笑んで歩みよってきた。


「いらっしゃいませ!プレゼントですか?」


「うえっ、いや、あの、その・・・」


顔を真っ赤にして言葉につまる祐輔の頭を軽く小突く。


あーあ、何やってんのよ。


それじゃあダメじゃない。


男はびしっと、しっかりしなくちゃ!



「あんたね、もう少ししゃきっとしたら?で、何を買いたいの?」



「・・・・わ」


「え?」



「・・・・わ」


「なに?」



「・・・・ゆびわ」



「指輪?」



高校生が指輪、ね。


私なんか20歳だってのにまだもらったことすらないのに。



「すいません、一番おすすめのペアリングとかありますか?」



私が聞くと、店員さんはにこやかに言った。


「仲良さげなカップルさんですこと」


「あ、いえ!私たち兄弟なんで」


「誰がこんなやつ彼女にできるか・・・」


「何か言った?」


「なんにも」



その様子を見て、店員さんはさらに深く微笑むと私たちを案内した。


かわいいロゴのついた指輪がいくつも並んでる。


祐輔は真剣に見比べていった。



その様子がなんだか可笑しくて笑っちゃう。


この子ももう大人になるんだなって思うとなんだか寂しい。


前はお姉ちゃん、お姉ちゃんだったのに、



もうこの子の視線の先には、きっとかわいいであろう彼女に向かうの。



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