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琥珀荘の奇妙な住人達

第5章 Bad×World~渚's過去編~

「…あれ?わんちゃん、怪我してるのー?」

そう言い、そいつは俺に近寄り足を見てきた。

「おい、近寄んじゃねーよ」

唸る俺を全く気にせずこいつはじっ、と見続けている…

「大丈夫…?」

そう言って俺の足に触ってきた。

「触んじゃねーよ!!」

「うぁっ?!……い、痛…」

軽く脅す程度で子供の膝を引っ掻いてやった。子供は後ろへとしりもちをつき、転んでいる。
震えながら此方を見て、目には涙を浮かべている。引っ掻いた足にはじんわりと血が滲んでいた

「……っ」

そいつは立ち上がるとどこかへ走って行った。どうせ人間の大人の元へ逃げたんだろう。

(俺も、傷がもう少し良くなったらどこかへ行くか。)

そう思い、俺は虚空を眺めた。
_________
しばらくして、あれから5分位経っただろうか…
傷はまだ治らない。

「チッ、面倒くせぇ……」

すると、また茂みが動く。

(クソッ、人間がもう来やがったか…)

その正体は確かに人間だった。
だけど、居るのはさっきの子供だけ…

(何で、コイツ戻って来たんだ…?)

「おい、何で戻って来やがった…。また痛い目にあいてぇのか…?」

そう言い睨みつけると、こいつはブンブンと首を横に振り、うつむいた。

「さっき、急に触ったの…ごめんなさい…これ……」

そう言って差し出したのは包帯と傷薬だろうか。

「僕、よく怪我するから、手当てできるの…だから、お詫びに手当てする…」

「そんなのいらねぇよ…早く立ち去れ」

「嫌だ!僕、手当てさせてくれるまでここに居るもん」

「チッ、面倒くせぇ。」

どうせすぐに居なくなるだろうと思い、俺はそのまま放置した。

(……眠い)

そして、ただ襲われる眠気に身を委ねる事にした…

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