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琥珀荘の奇妙な住人達

第2章 親睦会とはごく稀に主役を傷つける。

___10分後___

「えー、それでは。真冬君歓迎会及び、親睦会をはじめます!」

葵さんが立ちながらそう言うと

「いえーい!」

やけにテンションが高い渚が手を叩く。
今、俺の部屋には、葵さんと渚と駿さん。それと見知らぬ二人。駿さんが連れてきたこの人達もここの住人らしい。

「さて、それでは自己紹介からいこうか。んー……俺と渚と駿はもう自己紹介したから、それじゃあまず…雅、お願い。」

「は、はい。分かりましたっ。」

葵さんから言われ、立ち上がったのは……これはゆるふわ系と言うのか、可愛い系というのか…癖のある茶髪が印象の子。

「真冬君、ですよね。僕は雅と言います。どうぞよろしくお願いしますっ…」

ぶんっ、と勢いよく頭を下げれば、ゆっくりと頭を上げて微笑む。

(…めっちゃ丁寧、どこかの赤髪とは違い過ぎて目を疑うぜ……)

「うん、よろしくね。」

笑顔を返して、握手を求めるように手を出せば、ギュッと両手で包むように握られた。しばらく握っていれば、片手を離し口元へと持っていった。

(…萌袖、八重歯、ふわふわ……)

「(俺的)萌えの三大重要事項揃ってやがる!!」

「ぇ……?も、萌え…?」

(おどおどしている姿も可愛いなこんちくしょーめ。本当に男子かよ。)

「萌えって何だ?」

「わかんない。」

隣から駿さんと葵さんの会話が聞こえてくる。

(日本に住んでいて萌えを知らないとは……)

すると横から

「いつまで握ってんだよお前らwww」

そうだ、手握ってたの忘れてた。
そう言い、ゆっくり離せば雅君は少し恥ずかしそうに顔を背けていた。

(可愛い。天使がいるぞ。)

「じゃー、次は、悠真。よろしくね。」

「ん、了解~」

そう呼ばれて立ち上がったのは、これまた茶髪。髪は結っていて背中の真ん中あたりまである、なんとも葵さんとはまた別の大人の雰囲気がある人だった。

「……っ…」

「………?」

その人は俺を見て微笑むと俺の前へ来た。

「どうも、どうも。俺は悠真。まー、よろしくなー?」

へらへらと笑いながら、手をヒラリと振る。

「はい、よろしくお願いし…っ?!」

よろしくと言っている途中にガバッと抱きしめられた。

「な、な、何してんですか?!」

驚きのあまり抵抗が出来ずにいた俺は、目をぱちくりとさせるだけだった。

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