テキストサイズ

キミが欲しい。

第9章 stage9〜秘密の誘惑〜

「何、陸の友達?」


正樹と呼ばれたその男はひなのを覗き込む


『あっ、いや、その..』

しどろもどろしていると修哉に手を引かれた


「正樹さん、ちゃんと客引きするんでちょっと話ししてきます。」


そういうと路地裏の方に足早に進んだ


『修哉くん!勝手に後つけちゃってごめんなさい。あの..』
「秘密にして。」

ひなのの言葉を遮り、修哉が話す


「俺が働いてること誰にも言わないで。」


修哉は今にも泣き出しそうな目でひなのを見つめた


ー何か事情があるんだ

あたしには分からない、もっと深い何かが。


人には触れられたくない部分がある
それはあたしだってそうだ
きっと修哉くんも同じ..


『言わないよ。大丈夫。何で働いてるか分からないけど、修哉くんにマイナスになることはしないから。』


ぽんっと修哉の頭を軽く撫でる


『先輩の言うことは信じてよ。』


ひなのはにっこりと微笑み修哉を見た


「ひなちゃん..」


『陸って名前でやってるんでしょ?やっぱり人に接する仕事だから疲れちゃうこともあると思うけど、無理せずに頑張って!』


早く仕事に戻りなよと背中を押し、ひなのはその場を去った


「おーい、陸!」

修哉が一人で路地裏から出てくると、ちょうど正樹と合流した

ストーリーメニュー

TOPTOPへ