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ツインテールの君

第2章 えろかわ。


* * * * * * *

 一時間寝かせたクッキーの生地は、見事なクマの形に生まれ変わった。


 もっともすみれの集中力は、いかにしても欠けていた。國佳のちょっかいに身をよじり、あられもない声を上げ、心許ない身なりが補翼もしてか、終始頬を染めていた。


 みずみずしい繊手がこしらえた、國佳のための愛の証──…。


 胸が痺れるような誘惑を匂わすきつね色の宝石が、オーブンの中で完成に向かう間、國佳はすみれをリビングに勧めた。



 今がチャンスだ。


 國佳は冷蔵庫に振り返る。

 すみれに内緒で準備していたものが仕舞ってある。


 今日すみれを招いたのこそ急な思いつきだったものの、國佳は屡々、彼女とデートらしいことをしている。
 國佳は、近い内にすみれをこの自宅に呼んで振る舞いたかったあるものを常備していたのである。


 今日は、すみれにわがままを押しつけた。間違ってもただ働きさせるつもりはなかった。



 「すみ──」


 國佳がすみれに呼びかけようとした、その時だ。

 玄関からチャイムが聞こえた。

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