不透明な男
第6章 暖と冷
俺の携帯が鳴った。
智「はい」
翔「櫻井です。下に着きましたよ。」
智「ありがとう。今降りるね」
今日は翔の休みの日だ。
廃墟に行く約束をしていた日だった。
智「翔くんおまたせ、わざわざありがとね?」
翔「いえ、大丈夫ですよ」
ニコッと爽やかに翔が微笑む。
翔の運転する車に乗り込み廃墟へ向かう。
智「天気いいね~、デート日和だね」
翔「でっ、デート!?」
智「うん。こんな日におれと予定組んじゃって彼女に怒られなかった?」
翔「そ、そんなモン居ませんよ!」
智「そんなモンって(笑) 居ないんだ?」
翔「はい」
智「モテそうなのに」
翔「え?」
智「だって翔くんかっこいいじゃん」
ボッ
ハンドルを握る翔から火を吹く音が聞こえた気がした。
智「ちょちょ!翔くんあぶない!」
翔「わわっ」
智「もーハンドル握ってんだからちゃんとしてよね」
翔「じゃあ変な事言わないでもらえます!?」
智「えーなんも言ってないじゃんか…」
何故か翔に怒られた俺は、唇を尖らせて拗ねていた。
翔「ふふ…かわい…」
智「?なんか言った?」
翔「や、やや!何も言っておりません!」
智「翔くん!前、前!」
無事辿り着けるかな…
おれ不安だよ?