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不透明な男

第6章 暖と冷


なんとか辿り着いた…。


翔「はぁ、はぁ、つ、疲れた…」

智「おれも…」


廃墟に入る前に自販機でコーヒーを買った。
車でひと休みする。


智「はい翔くん。運転ありがとね?」

翔「や、こちらこそありがとうございます…」


まだ疲れた顔をしている翔を労おうと肩に手を置いた。


翔「!?」

智「疲れたでしょ?揉んであげるよ」

翔「や、ちょ…」

智「はい、じっとして」

翔「…んっ、く、くっ、ひゃ、ひゃっひゃっ」

智「あ…あれ?」

翔「ひーっ、おねが…やめてええっ」


笑いが止まらなくなった翔はもっと疲れてしまった。


智「ごめんね?もっと疲れた顔にさせちゃって」

翔「い、いえ…」


涙を拭いながら翔が答える。


智「擽ったがりなんだね…」

翔「や、そういう訳でも無い筈なんですけど…」

智「だ、だって、ひーって…ぷ、ぷぷっ」

翔「何笑ってるんですか」

智「だ、だって翔くんの顔…面白かったから…っくっ」

翔「私がマッサージして差し上げましょうか…?」


笑う俺に向かって翔がポキポキと指を鳴らして見せた。


智「…や、やめっ、ひゃっ」

翔「大人しくなさい」

智「ひっ、うひゃひゃっ、も、だめっ」


翔の反撃で俺も疲れてしまった…。








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