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不透明な男

第6章 暖と冷


翔「…こ、こんな事してる場合じゃありませんよ、大野さん。」

智「はぁ、はぁ、そ、そうだね…」


とにかく落ち着こうと二人でコーヒーを啜る。


翔「気持ちの準備はいいですか?」

智「う、うん」


意を決して車を降りた。


翔「とりあえず、庭から攻めましょう」

智「うん」


草木の生い茂る庭に足を踏み入れる。

俺が倒れていたというその場所も、新しく繁った草で分からなくなっていた。


智「たぶんこの辺りに倒れてたはずだから…」


と、俺はなんとなく目星を付けてその辺りを重点的に探し始めた。

翔も庭の隅や、人目が届かなそうな所を徹底的に探していた。


智「やっぱり無いなぁ…」

翔「うーん、警察も一応探したでしょうしねえ…」


俺は崩れそうな廃墟を見ていた。
翔はそれに気付くと心配そうな顔で聞いてきた。


翔「…気になります?」

智「うん、なんか…」

翔「中、見ます?」

智「うん、入っていい?」

翔「はい。行きましょう」


俺と翔は廃墟の玄関に向かった。



ガチッ


智「鍵…掛かってる」

翔「裏口とかないかな…」


翔が裏の方へ回る。
俺もそれに続いた。


翔「あった」

智「開くかな…」


ガチャ…


小さな扉は開かれた。





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