不透明な男
第6章 暖と冷
ベッドの上で蹲る俺に足音が近づく。
智「…っく、」
翔「智くん…?」
智「う…う…」
翔「智くん!?」
足音が俺に駆け寄る。
温かい手が背中に触れる。
翔「どうしたの!?しっかりして!」
智「あ…あ…」
温かい手が俺の背を擦る。
じんわりと温かくなる。
翔「智くん!」
俺の頬をその手が包んでくる。
翔「息、吸って!」
その手はぺちぺちと俺の頬を叩く。
翔「早く!呼吸しないと!」
冷たくなった俺の顎をその指が支える。
空気を吸う事の出来なくなった俺の唇が塞がれる。
翔「だめだよ!しっかり吸い込んで!」
送り込まれた空気が唇の隙間から漏れる。
俺の鼻は摘ままれ、俺の唇の上にその唇は深く覆い被さってくる。
智「ん…っ、ふ」
唇を離しては、また覆い塞ぎ空気を俺に送り込む。
何度も、何度も繰り返す。
智「ん、ん…ふ…ぅ…」
翔「息、出来る…?」
智「はぁ、はぁ…っ…」
翔「うん…大丈夫そうだね…」
俺の頬に、少し熱が戻った。