不透明な男
第6章 暖と冷
智「あ…、しょ、う、くん…?」
翔「そうだよ…気が付いた?」
翔は俺を抱き起こすと、腕の中にしっかり閉じ込める。
きゅっと優しく抱き締められた。
智「あぁ…、翔くん…」
翔「どうしたんだよ…一体」
智「もっと…」
翔「え?」
智「おねがい…もっと、強く…」
翔は俺を抱き締める腕に力を込める。
智「苦しいんだ…」
翔「…どこが?」
智「心臓が…張り裂けそうなんだ…」
翔「どうして…?」
智「分からない…分からなくて、怖いんだよ…」
目頭が熱くなる。俺は、いつの間にか泣いていた。
智「寂しくて堪らないんだ…」
翔「智くん…」
智「お願い翔くん、もっと、俺を強く…」
俺の口から次々と不安が溢れる。
羞恥心すら忘れて翔にすがった。
翔が俺の髪を撫でる。
俺の頬を撫でる。
背中に回された腕は、俺を、強く抱き締める。
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