
不透明な男
第6章 暖と冷
着替え終わった俺を、翔はベッドに促す。
翔「じゃ、俺はあっちのソファーで寝るから。」
何かあったらいつでも呼んで、と部屋を出て行こうとする翔を、俺は引き止めた。
智「何処にも行かないって言ったじゃんか…」
布団から目だけを覗かせて恨めしそうに言ってやる。
翔「え、だって…」
智「行かないでよ。おれ、また泣いちゃうよ?」
翔「ええっ!」
俺の心は冷えていた。
寂しくて、翔の温もりに包まれて居たかった。
俺は恥ずかしげもなく翔の手を掴むと、ベッドに引き込んだ。
翔「!」
翔は大きい目を更に見開き、まんまるにさせた。
智「ちょっと狭いけど、おれ ちっこいし大丈夫だよ」
翔「ちょ、ちょちょ!」
真っ赤になってじたばたする翔に布団を被せる。
翔「もう…、貴方には敵いませんよ…」
諦めた翔が目を瞑った。
智「ふふ…おやすみ翔くん♪」
翔「おやすみなさい…」
溜め息まじりの声で翔が言った。
