不透明な男
第7章 違和感
壁と潤に挟まれて、全く身動きが取れなくなってしまった。
回避する方法が思い付かない。
俺の唇を完全に捉えた潤は、呼吸をする事すら許してくれなかった。
智「んん…!」
ほんの少しだけ動かせる膝を突っ張り、身体を強張らせて抵抗する。
智「ん…っ、ん、ぷはっ、はぁ、はぁ」
潤「苦しい?」
智「…っ、ふ」
一瞬呼吸する暇を与えてくれたものの、すぐに捕まる。
唇を閉じる時間も無かった俺の口内に、潤の舌は素早く入ってきた。
智「んう…ぅ…」
頭を掴んでいた手が緩み、片方の手で俺の首を締めにかかる。
首の血管が遮られ、俺の頭はぼんやりする。
俺の身体は痺れ、全身から力が抜けていく様な感じがした。
智「ん…ん…、ふ」
俺の痺れて動けなくなった舌は、潤のいいように弄ばれる。
脱力して抵抗が出来なくなった事を見計らうと、はだけた胸元に手を伸ばしてきた。
潤「ふ…どうしたの?お前にしちゃ隙だらけじゃん」
智「あ…、やめ…っ」
潤「どんだけ我慢して来たと思ってんだよ」
潤が首に吸い付いて来た事によって、俺の唇は解放された。
智「ま、待って…」
潤「もう待たねえ」
潤が、凍りつくような瞳で俺を覗き込んだ。