不透明な男
第7章 違和感
和「最初に出会ったのはいつ?」
俺は3人の話をカウンターに突っ伏す様に頬杖を付きながら聞いていた。
潤「3年くらい前かな」
和「そんな長いんだ?」
雅「俺達は1年前位だよ。大ちゃんがウチに来出したのがそれ位だから。」
ああそうなんだ、と俺はぼーっとした頭で思っていた。
和「それって松本くんがいくつの時?」
潤「俺はまだ20歳で智が23歳の時」
雅「えっ、大ちゃんの歳知ってるの?」
潤「え?知らなかったの?」
雅「うん…」
おお、やっと俺の歳が分かる奴がいた。と俺は少し嬉しかった。
智「んふふ…」
和「本当にもう…そんな目しちゃって。寝なさいよ」
ニノは、俺に優しい目を向けて頭を撫でる。
その手が気持ちよくて、俺は目を細めた。
潤「呑み屋でバイトしてたんだけど、そこに智がいてさ」
雅「呑みに来てたの?」
潤「いや、違う。店の壁に絵を描きに来てたんだよ」
和「絵?」
智はオープン前の店の中で、ひとり黙々と絵を描いていた。
その絵は凄く綺麗なのに格好良くて、ドキッとしたんだ、と潤が言う。
潤「そんで、仕込みだなんだと理由を付けて早めに店に入って智を見てた」
雅「そうなんだ」
最初は絵に惹かれたんだと思った。だけど、俺が見てたのは絵じゃなくて智だったんだと、潤は目を細めて俺を見た。
あれ…この瞳…どこかで…
どこかで……なんだ?
その、愛しそうに見つめてくる潤の瞳は、なんだか懐かしく思えた。