不透明な男
第7章 違和感
潤の話によると、今から2年程前に潤を助けた事があるらしい。
当時まだまだヤンチャだった潤には悪い仲間もいて、喧嘩も絶えなかったそうだ。
当時の俺はと言うと、長めの明るいふわふわした髪に白くてぷっくりした頬がマッチして、女の子と見間違えるオッサンもいたと言う。
小柄で華奢でそんな顔だから、一見するとすぐにでも取って喰えそうな子ウサギの様だったらしい。
そんな子ウサギが、強面の男達に絡まれる潤の前に急に現れた。
きょとんとする子ウサギ。
それを見る強面の男。
これは更に分が悪くなったと青ざめる潤。
智『潤?』
潤『…智!』
潤は既に数発殴られており、男に胸ぐらを掴まれていたらしい。
智『…潤になにしてんの?』
俺は潤を掴む男を見るとそう言う。
『ん…? 絵描きのぼうやじゃねえか』
智『そうだけど…』
『お前本当に男かよ?』
『そんな細い身体して…本当は女じゃねえの?』
子ウサギの周りに2人の図体のでかい男が近づく。
潤『智!逃げろ!』
2人の男に囲まれていた潤は身動きが取れず、俺に向かって大きく叫んだ。
と、その時、俺は後ろから男に羽交い締めにされた。
目の前にはもうひとりの男。
『俺が確かめてやろうか?』
智『確かめなくてもおれは男だよ?』
『マジかよ(笑)』
智『ほら。ついてるでしょ?』
子ウサギは、男達を煽るように自分の股間に目線を落とすと腰を振った。