不透明な男
第7章 違和感
和「ほら…やっぱりそうなんだよ」
潤「何が?」
潤の話を聞き終わったニノが目を見開いて言う。
和「大野さんは超人なんだ…」
雅「あ…?あ、あ~!」
潤「は?」
和「や、俺もこの間助けてもらったんだよ」
ニノはこの間、男に絡まれた時の事を説明した。
潤「マジで?」
雅「本当凄かったらしいよ」
和「でも」
潤「ん?」
和「俺が見た大野さんは、もっとこう…なんて言うか、ちょっと怖い感じだったんだけどな…」
ニノは一点を見つめながら考え込むように言った。
雅「大ちゃんなんで教えなかったのさ~。俺、聞きたかったのに!」
智「それ、ほんとにおれだった(笑)?」
和「アナタ前も同じ事言ってたよ(笑)」
そうだっけ?と俺は笑いながらも、ずっともやもやしていた。
潤「智は何も教えてくれなかったけど、やっぱ絶対智なんだよな…」
雅「何でそう思うの?」
潤「智のおでこが赤かったんだよ。」
ニコニコ笑う俺の額は赤くなっていたらしい。
不思議に思った潤は、隣で転がる男に目をやる。
すると、男の額は赤く腫れあがっていたと言う。
雅「頭突きしたんだ」
和「だね(笑)」
潤「その他にもおかしな所がいっぱいあったんだよ」
雅「どんな?」
俺にキスした奴が許せなくて、一発殴ってやろうと伸びている男に潤は近付いた。
どんな唇で智に吸い付いたのかと、男の唇を見る。
すると、その唇からは血が滴っており、くっきりとした歯形がついていた。
雅「…噛みついたんだ!」
和「だね(笑)」
潤「しかも…」
いつもは綺麗な智の拳が、何故か赤黒く変色していた、と潤は言った。
和「それ絶対大野さんじゃん(笑)」
潤「だろ?そんだけ証拠がポロポロ出てくんのに、絶対言わねえんだよ(笑)」
雅「あははっ!大ちゃんバレバレだってよ!」
智「ええ~マジで…」
酒が回ったのと、さっぱり分からない事が作用して、俺はカウンターに頬をくっつけたまま他人事の様に聞いていた。
それ、本当におれか?