不透明な男
第8章 序章
兄「ん…智…」
俺は甘えるように松兄ぃの唇に吸い付いた。
松兄ぃは一瞬驚いたが、すぐにキスを返してくれる。
智「ん…なんで…、こんな時に帰ってくんだよ…」
兄「駄目か…?」
智「甘えちゃうだろ…」
俺は水音を響かせて松兄ぃにすがり付く。
今の俺はどうかしてる。
こんな関係を望んでいる訳じゃない。
だけど、この苦しさをなんとかしたかった。
俺の中から消し去って欲しかった。
智「松兄ぃ…、なんとかしてよ…」
苦しくて苦しくてどうしようもないんだ
この胸の締め付けを解放してよ…
智「おれを…たすけて…」
俺は涙の溢れる瞳で松兄ぃに助けを求めた。
松兄ぃは優しいんだ。
こんな俺を放っておける訳が無いんだ。
それを知っていながら、松兄ぃにすがり付いた。
兄「智…」
智「苦しいんだよ…なんで…こんなに…」
早く助けて。
俺を、今すぐここから助け出してくれよ。
涙が止まらないんだ。
胸が苦しくて張り裂けそうなんだよ。
早くその手で…
俺を救って