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不透明な男

第8章 序章


智「あっ、う…ぅ…」


既に二度も熱を絞り採られた俺は、松兄ぃの熱の塊を受け入れている。

俺が、まだだ、もっととせがむから、松兄ぃは俺の上で汗を滴らせて俺に熱を注いでくれていた。


智「あ、あっ、ま、松に…ぃ…」

兄「もっとか…?」

智「ああ…っ…」


熱を何度吐き出してもこの苦しみは納まらない。
俺は、もうどうすればいいのか分からなかった。


智「んんっ、んはっ、あ、あ」

兄「そんな綺麗な涙を流して、何を怖がってる…?」


俺の身体は心臓の冷えとは裏腹に、熱く火照りびくびくと跳ねる。


智「んっ、ん、わ、かんない…」

兄「お前の涙はキラキラして、透き通ってる…」

智「んあっ、あ、あっ」


俺の頭はごちゃごちゃしていた。
気持ちのいい快楽と、気持ちの悪い苦しみと、感情の解らない涙と。
一気に襲ってきて、気がおかしくなりそうだった。

俺は、抱き締めてくれと言わんばかりに松兄ぃに両手を伸ばす。
すると、松兄ぃは優しく笑って俺を抱き締めてくれる。


智「あぁ…、もっと、強く…」

兄「ん」


ぎゅっと抱き締めてもらう。
俺はもっと強くしがみつく。


智「もっとだよ…」

兄「お前…潰れても知らねえぞ」

智「大丈夫だよ…」



既に胸は押し潰されそうに悲鳴をあげている。
それを、松兄ぃの温もりで誤魔化そうとしたんだ。

俺は狡い。

そんな気も無いのに、こんな時だけ松兄ぃに頼るんだ。



だけど、今は許して。



そうでもしなきゃ、ほんとに、壊れそうなんだ





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