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不透明な男

第8章 序章


俺はぼーっとしたままベッドに篭っている。



おれ、どうしちゃったんだろう…

松兄ぃにあんな…



当の松兄ぃはとっくに仕事に出た。

昨夜はいつの間にか眠っていたらしい。
というか、絶頂に達した俺が意識を飛ばしたんだ。

朝目覚めると、意識を飛ばした筈なのに、俺はしっかり松兄ぃに抱き付いていた。
松兄ぃもそんな俺をしっかり抱いていてくれた。



やっぱり夢じゃないよな…



昨夜の俺の醜態があまりに恥ずかしくて、胸の苦しみが少し和らいでいた。

気を逸らすと途端に締め付ける様な痛みが襲ってくる。
だから俺は、ずっとベッドに篭って昨夜の事を考えていた。



ちょっとおかしくなっちゃっただけだよな…



それにしても恥ずかしい。
どんな顔して松兄ぃに会えばいいんだと頭を悩ませていた。



とりあえず、風呂はいろ…



浴室の鏡に俺が写る。



あ…やられた…



そこには身体中に紅い跡を散りばめられたなんとも卑猥な姿の俺が居た。

今週検診あるのにどうすんだよも~と溜め息を吐く。

でも、やっぱり夢じゃない。
俺は松兄ぃの与えてくれる快楽によって救われたんだ。と、紅い跡を指でなぞった。



救われたと言うよりは、誤魔化したのかな…

この跡はひどいけど…

とりあえず、ありがとうだな…





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