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不透明な男

第8章 序章


翔のお陰で随分元気になった気がする。

気分も大分良い。

行くなら今だなと、俺は自宅に向かった。



…ガチャ


この間は薬を発見してすぐ飛び出してしまった。
他の部屋はまだ見ていない。



探索しようかな…

や、ど、どうしよう…



意を決して来たのにまだ尻込みしていた。

取り合えず自分の服だけでも探しとくかとクローゼットを開けた。

中にはごくごく普通の青年が着るようなものばかりあった。
その隅に小さな箱を見付けた。

ゴクリと息を飲んでその箱を開ける。



これは…名刺?

と、ヘアスプレー…?



誰かに貰ったという感じの名刺ではなかった。
同じ名前のものが沢山あった。



誰の名刺だ…?



名刺とヘアスプレーの組み合わせに違和感を感じながらもクローゼットを漁る。



スーツまである…

俺の仕事着だったのかな…?



そろそろ仕事でもしなきゃいけないと思っていた。
衣食住何から何まで全て松兄ぃに世話になっている。
ちゃんと働いて借りを返さないとと密かに焦っていた。



そうだ…

テーブルに携帯番号があったな



ひょっとしたら仕事関係かもしれないと、リビングに戻る。



誰に掛かるかわかんないけど…

掛けてみるか…



俺は、そのメモを手に取った。




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