不透明な男
第8章 序章
俺は、早速電話の男の元へと向かった。
知るのが怖い気持ちもあったが、この男に会えば俺の事がもっと詳しく分かるかもしれないとドキドキしていた。
…なんだここ。
病院でもねえし、何よりボロい…
所狭しと並ぶ小さな古い建物等に紛れてその家はあった。
これ…家?
倉庫みたいだな…
一応のインターホンが付いてある扉の前に立つとボタンを押した。
ピンポーン…
ガチャリと鍵の開く音がすると、扉の隙間から男の顔が覗いた。
智「………」
◆「大野…!良かった、生きてるな!」
智「………」
◆「さ、早く入って」
智「あ……」
◆「ん、どうした?」
智「東山先生…!」
俺は知ってる。
この人を覚えていた。
東「なんだ?久し振りで感動したか(笑)?」
智「ああ~よかった…、 なんだ…先生かよ…」
東「嬉しいのか残念なのかハッキリしろよ(笑)」
やっと会えた…
俺の知ってるちゃんとした人
近所のおばちゃんには悪いけど、ついそう思ってしまった。